『薬局英会話最短トレーニング』第1章を終えて|英語ができる人ほど飛ばしてはいけない理由
今『これなら身につく! 薬局英会話最短トレーニング』(薬剤師Noriko著/じほう)で勉強しています。
全4章のうち、第1章「薬局英会話はじめの一歩(ビギナー編)」を読み終えたところです。ここまでで2週間ほどかかりました。
読了レビューはすべて終えてから改めて書きますが、第1章を終えた時点でしか書けないことがあるので、途中経過として残しておきます。今のところ、この本にはかなり満足しています。ただ、途中で集中力が切れる瞬間があるのも事実なので、その対処法も含めて書きます。
著者自身が「ビギナーはまず第1章をとことん」と書いている
この本は全4章構成です。
| 章 | 内容 |
|---|---|
| 第1章 | 薬局英会話はじめの一歩(ビギナー編) |
| 第2章 | 投薬時の英語フレーズ(中級編) |
| 第3章 | 投薬以外の英語フレーズ(中級編) |
| 第4章 | リスニング特訓 |
本の中で著者自身が、ビギナーの場合はまず第1章をとことん仕上げることを勧めています。
僕も読んでみて、その意味がよく分かりました。第1章は「入門編だから軽く流す章」ではなく、この本の土台そのものです。
1つの型を、ひたすら入れ替えて練習する構成
この本の設計で、いちばん特徴的だと感じたのがここです。
たとえば「これは〇〇のお薬です」と伝える場面。この本では This is for your fever. という型を示したうえで、fever の部分を cough などに入れ替えていくという練習をします。
症状を訴える側の表現も同じです。My ○○ hurts. という型を先に置いて、head や stomach を次々に当てはめていく。
もちろん英語には他にもいろいろな言い方があります。でもこの本は、まず一番わかりやすい初歩的な言い方を、ひたすら追求する方針を取っています。
『英会話ハンドブック』とは設計思想が逆でした
以前レビューした『薬学生・薬剤師のための英会話ハンドブック』とは、ここが正反対です。
ハンドブックは場面ごとに完成された会話が載っていて、同じような状況でもいろいろな言い回しが出てきます。読み物としての情報量は圧倒的です。
一方こちらは、1つの型を反復して口に定着させることに振り切っています。覚える表現の数は絞られますが、そのぶん確実に言えるようになる。
どちらが優れているという話ではなく、目的が違う本だということだと思います。この2冊をどう使い分けるかは、読了後に改めて書くつもりです。
正直、途中で集中力が切れます。そのときの対処法
この構成の弱点も、はっきり書いておきます。
同じ型を繰り返し練習するという性質上、どうしても単調になる場面があります。You may have drowsiness. You may have dizziness. You may have nausea. というように、副作用の単語を入れ替えながら同じ文を何度も口に出していく。
これが続くと、正直、集中力が切れます。単語を覚えるページで足踏みしている感覚になって、ここで挫折する人はいると思います。
詰まったら、第1章のStep6を開いてみてください
僕がおすすめしたい対処法があります。
第1章のStep6に、具体的な投薬例として4つの通しのロールプレイが載っています。ここまでで練習してきた文が、自然な形で会話の中に組み込まれている構成です。
これを音声を聞きながら読むと、英語で服薬指導をしている自分の姿が一気に浮かびます。今まで単調に繰り返していた文が、どう使われるのかが見える。
収録されているのは、投薬1がアレルギー症状、投薬2が風邪、投薬3が膝痛、投薬4が用量の変更という4場面です。どれも薬剤師なら「あるある」と感じる、本当によくある会話でした。
単語の反復練習で心が折れそうになったら、一度このページをチラ見してみてください。勉強の意欲が戻ります。順番通りに進めなければいけない、と考える必要はないと思います。
薬剤師が書いているからこその、薬学的なひとこと
この本の著者は薬剤師のNorikoさんで、ぺんぎん薬剤師さんの協力も得て書かれています。
読んでいて、それが端々に出ていると感じました。載っているフレーズが、実際に薬局で使うだろうものばかりなんです。「これ使う、使う」と思いながら読み進めることになります。
そして何より驚いたのが、例文に添えられた薬学的なワンポイントです。
たとえば「喘息の治療をされていますか?」という確認のフレーズ。ここに、喘息に禁忌として有名なのはβ遮断薬だが、選択性の高いビソプロロールは禁忌ではない、という趣旨の補足が小さく添えられています。
普通の英会話本なら、絶対にこの注釈は入りません。なぜその質問をするのかという薬学的な理由を分かっている人が書いているから入るんです。
他にも、海外ではカロナールという名前では通じず、タイレノールやパラセタモールのほうが伝わりやすい、といったコラムがあります。これは英語の知識ではなく、薬剤師の知識です。
究極に薬剤師特化の本だと思いました。
単語を知っていることと、説明できることは別だった
第1章をやっていて、いちばん驚いたのがこれです。
文法そのものは難しくありません。すでに理解している内容も多くありました。ただ、医療英単語は知らないものがかなり出てきます。
そして、知っているはずの単語でもつまずきました。
patch も ointment も、単語としては当然知っています。でも実際に「これをどう使うか」を英語で説明しようとしたとき、手が止まりました。貼るのと塗るので、動詞は変わるはずだと思い込んでいたからです。
どちらも apply でいいと知って、素直に驚きました。
この「動詞を統一して覚える」という発想と、医療英単語をセットで押さえること。この2つが噛み合った瞬間に、実践的なフレーズがすらすら出てくるようになりました。
英語ができる人でも、第1章は飛ばさないほうがいい
これが今回いちばん伝えたいことかもしれません。
「ビギナー編」という名前から、英語にある程度自信がある人は飛ばしたくなると思います。僕もそうでした。
でも、英語のレベルと医療英語のレベルは別物です。一般的な英語力がある人でも、医療英語が初学者なら第1章はかなりためになります。少なくとも僕には、簡単すぎると言えるレベルではありませんでした。
音声は「日本語→英語」で瞬間英作文のように使っている
この本には音声データが用意されていて、出版社であるじほうの読者サポートページから章ごとにダウンロードできます。
公式ページで確認できる仕様は次の通りです。
出典:じほう 読者サポートページ(2026年9月時点)
僕が使っているのは「日本語→英語」のほうです。日本語が流れたあとに英語が続くので、日本語を聞いた瞬間に自分で英語を言ってみて、答え合わせをする。いわゆる瞬間英作文のような使い方ができます。
この形式があるのは、この本の大きな強みだと思います。読んで理解するだけでは、投薬カウンターで口は動きません。
実際の練習の流れ
今やっている手順はこうです。
まず本を開きながら音声を聞いて、内容の理解を深める。そのあとは本を閉じて、音声だけで練習します。
asthma のように、文字を見ただけでは発音が想像しにくい医療英単語がかなりあります。こういう単語は、音声で確認しないと自己流のまま固まってしまう。音声でシャドーイングすることが、そのままスピーキング力に直結します。
英語は結局、暗記するくらい繰り返すのが大事だと思っています。ある程度読み進めたら、あとはひたすら音声を聞いて口に出す。このやり方をおすすめしたいです。
第1章だけでも、投薬の場面はかなり乗り切れそう
現時点での手応えとして、第1章がある程度できれば、日常的な投薬で困ることはかなり減りそうだと感じています。
僕の薬局は外国人の患者さんがそれほど多くありません。複雑な内科疾患の説明を求められる場面は稀で、実際に多いのは臨時的な痛み止めの説明などです。そのレベルであれば、第1章の内容で足りそうだという感触があります。
もちろん、これは僕の職場環境での話です。外国人患者さんが多い薬局や、病院勤務の方であれば、第2章以降が必要になるはずです。
ただ、かなり自信がある方以外は、全員が第1章から始めるべきだと思います。コラムも含めて、すべての薬剤師に読む価値があると感じました。
次は第2章、投薬時の英語フレーズに入ります
ここまでが第1章を終えた時点での記録です。
本書は第2章が「投薬時の英語フレーズ(中級編)」、第3章が「投薬以外の英語フレーズ(中級編)」、第4章が「リスニング特訓」という構成です。実務で使う頻度を考えると、第1章と第2章がこの本の中心になりそうだと感じています。
第2章に入ったら、また記録を残すつもりです。読了後には、『英会話ハンドブック』との使い分けも含めた総合的なレビューを書く予定です。
1. 自分が今週使いそうな薬を1つ決めて、英語で説明してみる
本がなくてもできます。痛み止めでも、湿布でも、点眼薬でも。実際に口に出してみて、どこで詰まるかを確認してください。そこが、あなたにとって必要な学習範囲です。僕の場合は apply でした。
2. 知っている単語でも、説明文にできるか試す
patch も ointment も、単語としては知っていました。それでも説明できませんでした。単語帳を増やす前に、手持ちの単語で文が作れるかを確かめるほうが早いかもしれません。
3. 音声で学べる教材かどうかを、選ぶ基準にする
これは本書に限らない話です。医療英単語は文字だけでは発音が分かりません。教材を選ぶとき、音声があるかどうかは想像以上に重要だと思います。

