投薬カウンターで処方箋の名前を見た瞬間、「これは絶対に英語圏の方だ」と確信したことはありませんか。今日はその思い込みから、頭の中で一気に英語モードに切り替わり、結局一言も英語を使わずに終わった投薬の話です。それでも、頭の中で準備したフレーズは無駄にはなりませんでした。

  • 処方箋の名前を見た瞬間、頭の中で英語を組み立てた実際の思考の流れ
  • 抗生剤2種類+頓服の鎮痛剤を、英語でどう説明するつもりだったか
  • 「次に飲むまで5時間空けてください」を英語でどう準備していたか
  • 結局英語を使わずに終わった理由と、そこで気づいた自分の弱さ

名前を見た瞬間、頭の中で英語のスイッチが入った

その日、ケガをされた方への投薬がありました。処方はこの内容です。

Rp.
1. オーグメンチン配合錠 3錠 分3 毎食後 5日分
2. アモキシシリン250mgカプセル 3カプセル 分3 毎食後 5日分
3. ロキソプロフェン錠60mg 1錠 痛い時 5回分

処方箋に打たれた名前を見た瞬間、「げ、これは絶対に英語圏の方だ」と、勝手に確信してしまいました。名前だけで国を判断するなんて、探偵にでもなったつもりだったのだと思います。

本人に話しかける前から、頭の中はもうフル回転です。薬の説明、飲み方、注意事項……投薬に入る前のわずかな時間で、英語のフレーズを一気に組み立てていました。まるで舞台に出る直前に台本を早口で確認する役者のような気分でした。

タンゴ
タンゴ
まだ何も聞いていないのに、頭の中はもう英語モードでした

「どちらの国から来られましたか?」と聞いたら、日本語で返ってきた

投薬に入ってすぐ、念のため「どちらの国から来られましたか?」と日本語で聞いてみました。返ってきたのは「イスラエルです」という、流暢な日本語の答えでした。

あれだけ気合いを入れて組み立てた英語フレーズは、その瞬間すべて出番を失いました。そのまま日本語で投薬を続け、特に困ることもなく終わりました。名前を見ただけで身構えていた数分間が、少し恥ずかしくなりました。

タンゴ
タンゴ
まさかの、日本語で返ってくるパターンでした

ちなみに、イスラエルの公用語はヘブライ語(とアラビア語)で、英語が公用語というわけではありません。それでもEF Education Firstが発表している「EF英語能力指数(EF EPI)」の2025年版によると、123の国と地域のうちイスラエルは46位(能力レベルは上から2番目の「高い」)、対して日本は96位(最下層の「非常に低い」)です(出典:EF EPI 2025年版)。「公用語が英語ではない=英語が通じない」でも、「英語圏ではないから安心」でもないのだと、あらためて実感しました。

頭の中で組み立てていた、薬の呼び方フレーズ集

結局その場では使いませんでしたが、頭の中で整理していた内容はこのブログのために書き残しておきます。まず詰まったのが「抗生剤」を英語でどう言うかでした。ここは自信がなく、Google検索で確認しました。今回の投薬で実際に思い浮かべていたのは、この2つの単語です。

頭の中で整理していたフレーズ集
薬の種類 英語 例文
抗生剤 antibiotic This is an antibiotic.
鎮痛剤・痛み止め painkiller This is a painkiller.

今回のように抗生剤が2種類ある場合は、まとめてThese are antibiotics.と言えば大丈夫だと確認できました。

この2つは「This is an ○○.」という同じ型に単語を入れ替えるだけなので、他の薬にもそのまま応用できます。今回は使いませんでしたが、同じ型で入れ替えられる単語もまとめて残しておきます。

同じ型で入れ替えられる単語集
薬の種類 英語 例文
解熱剤 fever reducer This is a fever reducer.
便秘薬 laxative This is a laxative.
睡眠薬 sleeping pill This is a sleeping pill.
かゆみ止め anti-itch medicine This is an anti-itch medicine.
利尿薬 water pill This is a water pill.
湿布・軟膏 patch / ointment This is a patch. / This is an ointment.

今回のケガの説明では、症状を伝える単語もいくつか思い浮かべていました。釘が刺さった箇所の腫れや炎症を説明する場面を想定して、こちらも合わせて確認しておきました。せっかくなので、投薬でよく出てくる症状の単語も一気に整理しています。

症状 英語
痛み pain
むくみ・腫れ swelling
かゆみ itchiness, itching
炎症 inflammation
しびれ numbness
熱 fever
頭痛 headache
咳 cough
喉の痛み sore throat
くしゃみ sneezing
鼻水 runny nose
鼻詰まり stuffy nose
めまい dizziness
ねむけ drowsiness
吐き気 nausea
胃痛 stomachache
関節痛 joint pain
こわばり・こり stiffness
息切れ shortness of breath
息苦しさ(呼吸困難) difficulty breathing
アレルギー症状 allergy symptoms

飲み方・服薬間隔・下痢の注意まで、英語のフレーズを用意していた

飲み方も、あらかじめ型を決めておくと投薬中に迷いません。

  • Take 1 tablet three times a day after each meal.(1回1錠を1日3回、毎食後に飲んでください)
  • Take 1 tablet when you have pain.(痛いときに1錠飲んでください)

頓服のロキソプロフェンでは、服薬間隔の説明も必要です。ここは以前レビューした『これなら身につく! 薬局英会話最短トレーニング』(薬剤師Noriko著/じほう)に載っていた表現を思い出しました。

Wait at least 5 hours between doses.(次に飲むまで、少なくとも5時間空けてください)

英会話最短トレーニングpart1:アイキャッチ
『薬局英会話最短トレーニング』第1章を終えて|英語ができる人ほど飛ばしてはいけない理由『これなら身につく!薬局英会話最短トレーニング』第1章を終えた時点の学習記録。1つの型を反復する構成、薬剤師ならではの薬学的ワンポイント、単調さで集中力が切れたときの対処法、そしてビギナー編を飛ばすべきでない理由まで。...

抗生剤を2種類服用する場合、腸内細菌のバランスが崩れて下痢が出やすくなることもあるため、この注意喚起も用意していました。

  • This medicine may cause diarrhea.(この薬は下痢を起こすことがあります)
  • You may have diarrhea.(下痢になることがあります)

結局この日は、これらのフレーズを一言も口にしませんでした。それでも、いざという時に迷わないための準備は無駄にはならないと思っています。

日本語で終わった安心感の裏にあった、正直な自信のなさ

正直に書きます。「日本語で大丈夫だった」と分かった瞬間、ホッとしてしまいました。

特に自信がなかったのが、服薬間隔の説明です。「Wait at least 5 hours between doses.」というフレーズ自体は知っていても、緊張している中でとっさに口から出てきたかどうかは、正直わかりません。準備していたはずのフレーズでも、実際の場面ですらっと言える自信はまだありませんでした。

タンゴ
タンゴ
日本語で助かった、というより、日本語に助けられた回でした

「国籍を聞く前に身構える」よりも先に、まずは日本語で聞いてみる。そのうえで、英語が必要になったときのためのフレーズは、普段からある程度型として持っておく。この両方が必要なのだと、今回あらためて感じました。

投薬前に、今日からできる3つの準備

今日からできる3つの準備
  • 1. まずは日本語で国籍・出身地を確認する型を作っておく
    「どちらの国から来られましたか?」と日本語で聞くだけで、英語が必要かどうかが先に分かります。
  • 2. よく出す薬の説明フレーズだけ、先に英語で1文ずつ用意しておく
    「抗生剤」「痛み止め」など、薬の分類を表す単語だけでも先に調べておくと、当日の負担がかなり減ります。
  • 3. 服薬間隔・注意事項の言い方は、緊張した状態を想定して声に出す練習をする
    知っているフレーズと、緊張した中でとっさに言えるフレーズは別物です。頭の中で分かっていても、実際に声に出す練習をしておきたいと思います。